『英文解釈の技術』シリーズの内容と利用法

『英文解釈の技術』シリーズの内容と利用法 英語参考書

『英文解釈の技術』シリーズは、大学受験用の英文解釈の問題集として定番のものです。

  • 『超入門英文解釈の技術60』
  • 『入門 英文解釈の技術70』
  • 『基礎 英文解釈の技術100』
  • 『英文解釈の技術100』

の4部作からなっており、段階的に英文解釈の技術を学習・習得していくことができます。

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『超入門英文解釈の技術60』

『超入門英文解釈の技術60』は、大学入試に向けて初めて英文解釈に取り組む人を対象にした問題集です。主に高校入試問題から採用された60の例題と演習問題を通して、英文の構造を把握するための基礎技術を学ぶことができます。

内容・利用法

例題60問とそれぞれの例題に対応した演習問題から構成されています。超入門では多くの英文を高校の入試問題から採用しているため、いきなり難しい英文が登場することはありません。英語が苦手な人にとっても取り組みやすい問題集といえるでしょう。例題の白文は「Review Training」というコーナーにすべて掲載してあるため、復習や音読を効率的に行うこともできます。

高校の入試問題からとられた英文とはいえ、解説は本格的です。基本的な文法用語などは知っていることを前提として解説されているため、高校までに学習する英文法に不安がある人はまず基礎をしっかり復習・理解しておきましょう。文法の理解が不十分なまま取り組むと、解説に書かれている内容が理解できず、効果的に学習を進められない可能性があります。

解説は非常に丁寧で、これをしっかりと理解することができれば英文解釈の基礎を盤石にすることができます。ただし、解答例として掲載されている全文訳に意訳と思われる部分が見受けられることがある点には注意が必要です。特に例題・演習01は諺のため、全文訳を読んで面食らう人がいるかもしれません。そういう場合、全文訳はあくまで参考程度にしておいてください。まずは構造を理解し、書いてある英文の通りに訳せていれば大丈夫です。

英語が得意な人は自力で進められても、英語が苦手な人や初学者にとっては、なぜこういう訳になったのか分からない、ということがおこる可能性はあります。質問対応してくれるような学校の先生や信頼できる指導者がいる環境で使うと、疑問を解消しながら効率的に勉強を進めることができるでしょう。

CDがついているため音読用教材としても利用できます。例題の英文の構造や意味を理解したら、暗唱してしまうくらい繰り返し音読しましょう。

取り組む時期

学校の進度や学習者のレベルにもよりますが、英文解釈は高校までの基本的な単語と文法を習得してからでないと効率的に勉強することができません。英語が苦手な人や、通塾なしで普通の進度の公立高校に通っている人は、高1の秋~高2の夏くらいまでの間に手を付けるようにしましょう。期間は開始から2~3か月程度を目安にするといいと思います。

英語が得意という人は中学生から使っても大丈夫です。英検準2級に合格している人であれば問題なく使えるでしょう。

『入門 英文解釈の技術70』

『入門 英文解釈の技術70』は大学入試に向けて英文解釈の基礎を固めるための問題集です。例題や演習問題用の英文はすべて大学入試問題から取られていますが、中学校~高校1年生レベルの文法項目をもとに選ばれていますので、英語が得意な中学生や高校1年生でも取り組むことができます。

自分の学力に応じて『超入門』か『入門』からはじめ、まずは『基礎』までを終わらせることを目標にしましょう。『基礎』までやれば長文読解に移行するための英文解釈の基礎は身につきます。その後は別の問題集を使用しても大丈夫です。

内容

70の例題と演習問題で構成されています。英文は大学入試問題からとられていますが、文法項目は中学校~高校1年生レベルを中心に構成されていますので、高校レベルの基本的な単語と文法を一通り勉強した後であれば、すぐに取り組むことが可能です。

例題は「英文+見開き解説+全文訳」で構成されており、解説はかなり詳しく丁寧に書いてあります。1つの例題を見開きで完結させている都合上、やや解説の文字が詰まっているため、レイアウトがごちゃごちゃしているという印象を受ける人もいるかもしれません。

問題集としては有用なのですが、2点だけ注意しておくべきポイントがあります。

1点目は、解説中で文法用語が連発されている点です。文法項目だけでなく、文法用語についての知識もなければ活用するのは難しいかもしれません。文法用語が苦手な人の場合、解説がほとんど理解ないということもあり得るでしょう。

2点目は、全文訳に意訳されている箇所がある点です。英文解釈の技術をある程度習得した人が見ればどういう風に訳したか分かるものの、まさにこれから勉強しようとしている学習者は混乱するかもしれません。これまでにも「どうしてこういう訳になったのか分からない」という質問を受けることがままありました。独学でも使えないことはないものの、指導者がいた方がより効率的に活用できるでしょう。

CDがついているため音読用教材としても利用できます。これはどの問題集でもいえることですが,例題と演習問題を解いたら、必ず音読するよう習慣付けましょう。例題70問の後に「復習トレーニング」としてすべての例文が掲載されています。暗唱してしまうくらい音読を繰り返しましょう。

取り組む時期

高校までの基本的な単語や文法を一通り習得してから取り組みましょう。英語が得意な人は『超入門』を飛ばして、いきなり『入門』から始めても問題ありません。

本格的な長文に取り組むまでに『基礎』まではやっておきたいことを考えると、できれば高2までに終わらせておきたいところです。英語が苦手な人も高3の6月までには終わらせましょう。

『基礎 英文解釈の技術100』

『基礎 英文解釈の技術100』は、入試基礎レベルの文法を復習しながら難関大入試で出される複雑な英文を分析する技術を身につけるための英文解釈の問題集です。

「基礎」とありますが、これは受験用問題集あるあるで「入試基礎」のことですから注意しましょう。英語が苦手な人がタイトルにつられてうっかり買ってしまうと見事返り討ちにあい、苦手意識が増幅される恐れもあります。これから英文解釈の勉強を始める、あるいは高校基礎レベルから勉強したい人は、まず同シリーズの『入門』に取り組むといいでしょう。

内容

100の例題と演習問題から構成されており、見開き2ページに「例題+解説+全文訳+演習問題」が入っています。上智や慶應の入試問題の英文も採用されており、『入門』に比べると一段手強い文章が増えているため、はじめは苦戦する人が多いかもしれません。

『超入門』や『入門』では例題が第1部、演習問題が第2部と分かれて配置されていたのに対して、『基礎 英文解釈の技術100』と『英文解釈の技術100』ではすべてが見開き2ページに収まっています。演習問題の分解説のスペースが削られていますが、それでも十分詳しい解説がされているので、使う分には問題ないでしょう。

例題100問が終わると、例題の英文だけを並べた「復習トレーニング」があります。付属のCDを活用して、英文を覚えてしまうくらい徹底的に音読をしましょう。音読をすることは英語上達の何よりの近道です。このひと手間を省くと学習効果が激減します。

この問題集を終えれば、大抵の入試英文は構造分析しながら読み取れるようになっているはずです。シリーズとしてはこの後に難関大志望者を対象とした『英文解釈の技術100』がありますが、そこまでやる必要はないかもしれません。『入門』からやっている人は3冊目となり、多少飽きてくるころだと思います(笑)時間に余裕があれば『英文解釈の技術100』に取り組んでもいいですし,気分転換に『ポレポレ』や『英文読解の透視図』に取り組んでもいいでしょう。

取り組む時期

『入門英文解釈の技術70』を終えてから取り組みましょう。難関大学志望者はできれば高3の5月までに終わらせておきたいところです。解釈が終わったら本格的な長文に取り掛かることになりますので、遅くとも高3の8月までには終わらせておく必要があります。

『英文解釈の技術100』

『英文解釈の技術100』は、難関大志望者が英文解釈の総仕上げを行うための問題集です。

この問題集を仕上げればもう他に英文解釈の問題集をやる必要はありません。難関大で出されるような複雑な英文であっても、構造分析しながら読めるようになっているはずです。心置きなく長文問題に取り掛かり、これまで培ってきた技術を実戦の中でさらに磨いていくことにしましょう。

内容

100の例題と演習問題から構成されており、見開き2ページに「例題+解説+全文訳+演習問題」が入っています。この構成は『基礎』と同じです。例題や演習問題には東大・京大や早慶の入試問題で出された英文も含まれており、『基礎』からまた一段レベルが上がっていることが分かります。

詳細な解説はついているものの、掲載されている英文はどれも手強いものばかりです。解説のすべてを一度に理解出来なくても問題ありませんし、そうする必要もありません。何回・何十回も復習する中で、最終的にすべての技術が身についていればいいのです。

複雑な英文の構造を分析するための技術も色々と紹介されているのですが、まず第一にS(主語)とV(述語動詞)という文の主要素を把握することに拘っている点を不思議に思う人がいるかもしれません。これは一見当たり前のように思えて、(特に複雑な英文になると)多くの人ができなくなってしまうことだからです。逆に、当たり前に思えることを積み重ねていけば、どんな複雑な英文も分析・精読できるようになる、ともいえます。

『基礎 英文解釈の技術100』までと同じように、例題の英文だけを掲載した復習トレーニングに音読用のCDが付いていますので、これらを利用して徹底的に音読練習をしましょう。例題の英文はすべて瞬時に構造を見抜き、意味を理解できるようになった上で、暗唱できるくらいまで音読練習を繰り返すことが大切です。

取り組む時期

『基礎』を終えた後に取り組みましょう。難関大志望者は、この問題集を終えた後に過去問や本格的な長文に取り掛かる必要があります。できれば高3の6月までに、遅くとも8月までには終わらせておきたいところです。仕上げるまでの期間の目安は大体2~3カ月です。

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